「相続の手続きの方法は知っているし、もめる心配もない。」
そう思っていたところ、思いもかけない相続人が登場して、相続手続きができなくなってしまった。
こんな事例は、実はたくさんあります。
以下は、全て司法書士としてご相談を受けたり、お手続きのご依頼を頂いた事例です。
(例1)
お子様のいないご夫婦のご主人様が亡くなって、奥様が自宅の名義変更手続きにいらっしゃいました。
ご主人様は生前、自分は一人っ子であると言っており、ご主人様の両親・祖父母ともに既に亡くなっていたので、遺言書はなかったものの、手続きは簡単だと思われました。
ところが、ご主人様のお父様はお母様と再婚をされていて、初婚の際、妻の連れ子と養子縁組をしていたのです。
最初の奥様と離婚した際、その養子縁組の解消をしなかったため、今回の依頼者のご主人様の異母兄弟ということになり、この方を探し出して協力を得なければならなくなりました。
「兄弟姉妹が相続人」・「養子縁組」というのは、相続手続きを厄介にするケースに多くみられるキーワードと言えます。
(例2)
遺言を書かずにお父様(Aさん)が亡くなって、戸籍を取得してみたら認知した子がいて大騒動、というのは想像がつくと思います。
この場合、相続人である子供たちや奥様が大変な思いをする訳ですが、もし、このAさんに生涯独身の兄弟姉妹がいて、次にその方が亡くなった場合、どうなるでしょう?
お独り様のこの兄弟姉妹の相続人は、他の兄弟姉妹となり、Aさんは既に亡くなっていますので、Aさんの子供、ということになります。
そう、もうお分かりですね?Aさんの認知した子は、Aさんの相続人であるだけでなく、Aさんの兄弟姉妹の相続の際の相続人にもなり得るのです。
Aさんは、自分が認知した子が、兄弟姉妹の相続人になるなどとは思ってもいなかったでしょう。
世の中には、こんな風に「思いもかけない相続人」が登場するケースが、ことの他多いのです。
「自分には関係ない」ではなく、「自分にも起こるかもしれない」。そう考えて遺言を作成するなどの対策をすることを強くお勧めします。