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遺留分制度に関する見直し

遺留分侵害額

2.遺留分侵害額の計算方法

遺留分侵害額の計算方法はややこしいので、以下の例でご説明します。

被相続人:父   
相続人:長男・長女     
父には「全て長男に相続させる」内容の遺言あり    
相続開始時の相続財産の価額:2000万円    
相続開始前10年以内に長男に贈与された財産の価額:1000万円    
相続開始前10年より前に長男に贈与された財産の価額:4000万円
相続開始前10年より前に長女に贈与された財産の価額:500万円    
(生前の贈与は全て特別受益に該当するものとする)        
        ↓
長女の遺留分:(2000万円+1000万円) × 1/4 =750万円    
長女の遺留分侵害額: 750万円-500万円=250万円

解説
今回の改正により、遺留分を算定する際の基礎となる「相続財産」に何が含まれるか、というのが変更となりました。
上記の例ですと、今までは、相続人に対する「特別受益」となる生前贈与は、何年前に贈与が行われたかを問わず、全て相続財産に戻して計算することになっていました。
ところが、今回の改正では、相続人に対する贈与に関しては、相続開始前10年以内に行われた特別受益のみを相続財産に戻す、ということにされたため、長女の遺留分算定の基礎となる相続財産は、 2000万円(現に存在する相続財産) + 相続開始前10年以内に長男に贈与された1000万円 となります。
そこに長女の遺留分 4分の1を掛けた750万円が、長女が最低限取得できる遺留分額となります。
一般的な感覚では、父親から遺言で財産をもらえなかった長女は、長男に対して750万円を請求できそうに感じますが、しかし長女は父が生存している間に500万円の特別受益を受けています。
ですので、長女が侵害を受けている遺留分額は、
750万円-500万円=250万円となり、長男に対して請求できるのは250万円のみ、ということになります。

この例では、混乱を避けるため、父に債務がないことを前提としておりますが、父に債務があった場合はまた結果が違ってきますので、具体的に遺留分侵害額をお知りになりたい場合は、専門家にご相談下さい。
尚、相続開始前10年より前の相続人に対する特別受益が全部、相続財産から除外されるかというとそうではなく、「当事者双方が遺留分権利者に損害を加えることを知って贈与をした」ときは、10年よりも前にした贈与(特別受益)も相続財産に戻して計算することになります。

この改正は2019年7月1日以後に開始した相続に適用されます。