昨日、認知症の介護を続けていらっしゃる方々には、
本当に自分のことのような事故の件で、
最高裁は、家族の責任は問わないという判決を出しました。
出来るだけ、家族で介護されていた方にとって、
家族を亡くした悲しみ以上に、苦しみを与える必要はやはりありませんよね。
法的にもそれを証明してくれたので、ほっとしました。
ただし、悲しいかな、ケースバイケースです。
今回は、相手がJRという大会社でしたから、
個人に対してはかなり同情する部分がありましたけど、
個人VS個人、認知症の方が加害者になってしまったときは難しい問題です。
認知症の方の自動車運転による逆走事故も多いですよね。。。
いくら車のキーを隠しても、
スキをついて乗ってしまうということもあるみたいですから、
監督義務を問うのは、酷かもしれませんが、
被害者側からはそんなこと言ってはいられないと思いますし・・・
今でも遅いくらいですが、
社会で認知症の方を見守るための色々な整備が早急に必要ですよね。
最後に判決要旨を、日経新聞(Web版)の昨日の記事から引用します。
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【認定事実】
男性は2000年12月ごろから認知症の症状がみられ、
妻と、近くに転居した長男の妻が自宅で介護していた。
症状が進んで徘徊するようになり、
家族は連絡先を記した布を着衣に縫い付けたり、
玄関にセンサー付きチャイムを設置したりした。
男性は07年12月、家族が目を離したすきに1人で外出し、
電車にはねられて死亡した。
【監督義務】
民法714条は責任無能力者が他人に損害を与えた場合、
法定の監督義務を負う者に賠償責任があると定めるが、
保護者や成年後見人であるというだけでは監督義務者には当たらない。
また民法752条は夫婦の協力や扶助の義務を定めているが、
これらは夫婦が互いに負う義務であって、第三者に対して、
夫婦いずれかに何らかの義務を負わせるものではない。
男性の妻や長男は監督義務者に当たらない。
もっとも法定の監督義務者でなくとも、
責任無能力者との関係や日常生活での接触状況から、
第三者への加害行為を防ぐため実際に監督しているなど、
監督義務を引き受けたとみるべき特段の事情がある場合は、
監督義務者に準ずる者として民法714条が類推適用され、
賠償責任を問えると理解すべきだ。
監督義務者に準ずる者かどうかの判断は、
本人の生活や心身の状況に加え、
責任無能力者との親族関係や同居の有無、
介護の実態などを総合考慮すべきだ。
実際に監督している、
あるいは容易に監督できるなどの事情を踏まえ、
責任を問うのが客観的に相当かという観点で判断する必要がある。
【判断】
事故当時、妻自身85歳で、要介護認定を受けていた。
長男は20年以上男性と同居しておらず、
事故直前は週末に男性宅を訪ねていただけだった。
いずれも第三者への加害行為を防ぐために男性を監督することはできなかった。
監督義務を引き受けていたとはいえず、監督義務者に準ずる者ではない。
妻の賠償責任を認めた名古屋高裁の判断には明らかな法令違反があり、
その部分は破棄を免れない。長男の賠償責任を否定した判断は是認できる。〔共同〕