皆さんは、養子縁組の制度のことをよくご存知ですか?
改めて聞かれると、あまりよく分かりませんよね?
養子縁組をすると、養子は「養親の嫡出子の身分」を取得します。
「嫡出子」とは、法律上の婚姻関係にある夫婦間に生まれた子のことです。
ですので、当然、相続にも関わってくることになります。
それまで養親の相続人になる予定のなかった人が、相続人になる、ということです。
養子縁組には、当事者双方に養子縁組をする意思がなければ なりません。
ところが、以前から、違う目的のために養子縁組という制度が利用されてきた事実があります。
何故、今回こんな話をするかというと、先日顔なじみのお客様がいらしてこんな相談を受けたんです。
「親が死亡した時の相続税のことが心配で銀行に相談したら、
『親御さんとあなたの息子さん(未成年)を養子縁組させれば、相続税の基礎控除が1人分増えますよ』
とアドバイスされた。
ところが、役所に行って書類をもらう時に、
『養子となる子が未成年だったら、親権者も養親に移ります』
と言われてびっくりして相談に来た」
そうなんです。成年に達しない子は、父母の親権に服し、子が養子であるときは、養親の親権に服するんですね。
銀行の担当者は、こんな大事なことも考えずに、ただ、相続税対策のためだけに養子縁組の制度を利用することをお客様に勧めたんです。
こんなことはいけませんね。
ただ、このご相談の時にホッとしたのが、この相談者から
「おじいちゃんとおばあちゃんの子供になるか?」
と問われた11歳の男の子が
「お父さんとお母さんの子供なんだから、嫌だよ」
と答えていたことでした。