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相続手続きの実際 12

寄与分って何?

今日は、相続における「寄与分」のお話をします。

亡くなった方に遺言がなかった場合、一旦、相続人が法定相続分で遺産を共有することになります。
もし、亡くなった方が父親で、相続人が3名のお子さんだった
とすると、お子さんの法定相続分は3分の1ずつで平等になります

でも、その父親が認知症を患い、長い間の介護が大変で、お子さんのうちの一人だけがその介護を頑張ったとしたら、相続分が平等というのは、かえって不平等ではないですか?

そこで、民法では亡くなった方の「財産の維持又は増加について特別に寄与した者」に、法定相続分の他に、寄与分というのを認めています。

では何故、父親の介護をしたことが財産の維持又は増加につながるか、というと、父親を施設などに入れずに自宅でお子さんが介護をした結果、施設の費用やヘルパーさんを頼んだりした際の出費がなくなり、財産の維持に貢献したことになる、という訳ですね。

この寄与分は、大きく以下のような型に分類できます。

①家事従事型
②金銭出資型
③扶養型
④療養看護型
⑤財産管理型

①は、亡くなった方の事業に従事して、「財産の維持又は増加について特別に寄与した者」ということになりますが、なんでもかんでも寄与分が認められる訳ではなく、典型的な例でいうと、親の農業を無償に近い形で継続的に支えていた子供、というようなことになります。

②は、亡くなった方の借金を肩代わりしたとか、亡くなった方に自分の不動産を無償で貸していたとかで、「財産の維持又は増加について特別に寄与した者」ということになります。

③は、亡くなった方を扶養して、その生活費を賄っていた場合などですが、法律上扶養義務がある場合は当然の行為ですから、当然の行為に対して寄与分は認められません。

④は、一番最初に例示した、親の介護などに従事した場合です。
介護に従事した1日につき8千円の寄与分が認められた事例もありますが、逆に、親の家に同居(賃料は払わず)して介護をしていた場合は、子供も賃料相当の利益を受けているとして、寄与分と相殺されてしまった事例もあります。

⑤は、例えば親の所有する不動産の賃貸業務を行って、「財産の維持又は増加について特別に寄与した者」ということになります。

以上、簡単に説明しましたが、寄与分については相続人間で協議が整わない場合は家庭裁判所で調停・審判をすることができますが、寄与分があると主張をする者が「寄与したんだ」という証拠等を揃える必要もあり、簡単には認められません。

ですので、やはり、遺言を書いて頂いて、特別に寄与した相続人にはより多くの財産が渡るようにしてあげて欲しいと思います。

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