皆さんは、日本の成年後見制度のことをご存じですか?
認知症その他の理由で判断能力が欠けてしまったり、不十分になってしまった方の財産管理に関する事務を後見人に任せる制度です。
後見人は、ご本人が結んでしまった怪しい契約(一昔前、いらない布団を売りつけたり、必要ないリフォーム契約を結ばせたり、というのがありましたね)を後から取り消すことができます。
そんな後見人には、多くがその親族(子供など)が就任します。
しかし、近しい親族がいなかったり、ご本人の資産が多額で素人では管理できない場合は、家庭裁判所が後見人を選任します。
弁護士・司法書士・社会福祉士など、いわゆる専門職と言われる人たちを選任するんですね。
でも、その人たちは裁判所に選ばれた人であって、ご本人が選んだ人ではありません。
これで、ご本人は満足でしょうか?
また、例え親族の方が後見人になったとしても、この方もご本人が選んだ訳ではないんですね。
多くが、ご本人ではなくて後見人になった親族の方が必要に迫られてこの制度を利用したものなので、必ずしもご本人のためになっていないケースがあるんです。
そんな背景もあってか、平成22年から平成24年の約2年3ケ月程の間に後見人によってご本人の財産が横領された事件の総額がなんと83億円。
ご本人には横領された、という認識すらない場合が大多数です。
日本の後見制度はこれでいいのでしょうか? いいわけありませんね。
ここでひとつ、似ているようでまるで違う「任意後見制度」というのがあるんです。
これは、自分の判断能力が衰える前に、自分の財産を管理してもらう人を決めて、その人と財産管理契約を結んでおく、というものです。
これならば、自分で自分の後見人を選べますね?
選ばれた方も、信頼を得て「契約」を結びますから、最初の心構えから違うわけです。
日本人は、諸外国の方と比べると、自分で自分の財産を守ったり、将来の自分のあるべき姿を描いてきっちり備えておく能力が少し欠けている気がします。
きっと、幼い頃から法律や制度のことを学習する機会を与えられていないからですね。
みなさん、自分や親の将来を守るため、この任意後見制度のことをちょっと、学んでみませんか?